妖精は短命だ。
誰かに覚えてもらわなければ、生きていけない。
妖精同志で記憶していれば問題ないには問題ないのだが…
妖精は鳥頭びっくりなほどの大馬鹿で、記憶力がない。
そのため、仲間を記憶しても数秒後には忘れている。
その間に妖精は死ぬのだ。
それでは、なぜ私はここまで生きているのか?
それは…運が良かったとしか言いようがない。
生まれたときの私は、周りと大差ない大馬鹿者だった。
花が好きだったから、森の奥にもあるのかな、とふらっと森の奥へ奥へ進んでいった。
けれど、進んでも花の一つも出てこない。
大好きな花に会えなくて泣いていた頃。
「そこに誰かいるの?」
一見、女の人に見えるような顔。
灰色の髪。
私のご主人となる人が現れたのだ。