「雨……だね」
「そうだな…」
窓の外を眺め、二人はそう呟いた。
「うーん逆に良かったかな?」
「何が?」
「外にいると、いつでも逃げちゃうでしょ?」
女の子か男の子向かってそう言う。
今でこそ女の子の傍にいるが、男の子は依然、女の子の前から忽然と姿を消した。
お互いが、お互いのことを気になっていたが故に、姿を消したことに女の子は酷く悲しんだ。
戻ってきた今は、ずっと傍にいる。
「…もうどこにもいかないよ、行ったとしても行く場所なんてわかるだろ?」
「…ブルクのところ?」
「そう、俺の居場所はそこしかない」
男の子は小さい頃から、記憶の神であるブルクに世話になっている。
自身を産んでくれた両親とは別れたため、唯一の親族なのだ。